仕事を1回で覚えられず、悩む方は多いのではないでしょうか。
2回も同じこと言わせないで
先輩や上司にこのセリフを言われたことがある方も少なくないはずです。
仕事を1回で覚えられないでいると「自分は仕事が出来ない人間なのだろうか」と落ち込んでしまいますし、自信もどんどんなくなりますよね。
しかし、仕事を1回で覚えることは、果たしてそんなに簡単なことなのでしょうか。
この記事では「仕事1回で覚えられない問題」について、原因や対策をお伝えしていきます。
目次(クリックでジャンプ)
仕事が1回で覚えられない時の原因【自分編】
仕事を1回で覚えられない背景には、どんなことが考えられるでしょうか。
まずは自分自身にその原因があるケースを探ってみます。
当てはまっているものがないか、ご自身の身を振り返りながら読み進めてみてくださいね。
原因①メモを取らない
メモを取らないが故に仕事を覚えられないケースは、非常に多いです。
人間は忘れる生き物です。
20分後には42%忘れ、次の日にはなんと74%も忘れているという研究データもあるほどです。
覚えていられることの方が少ないのですね。
つまり、忘れてしまうことは、ある意味当然とも言えます。
それに加えて、教えてもらっている時は大抵次から次へと色々な情報が伝えられるので、聞いているだけで覚えることは無理があるでしょう。。
人間の記憶の性質から考えて、メモも取らずにただ聞いているだけで覚えられるわけがないのです。
原因②質問や相談をしない
疑問点が出てきたのに、質問をせずにわからないままにしていては、いつまでも仕事を覚えることは出来ません。
時には、聞くことがためらわれることもあると思います。
「質問したら怒られてしまうかもしれない」と心配になる気持ちもよくわかります。
しかし質問をせずわからないまま進めて、後になって大きく軌道修正しなければならない事態になる方が、怒られるリスクは高くなります。
それに仕事というのは、一つの知識を土台にして新しい知識を積み上げていくものです。
疑問点を解消しないでいると新しい知識への理解も曖昧になり、1回で覚えることがますます難しくなります。
わからないことをそのまま放置して、仕事を覚えられるはずがないのです。
原因③理解力がない
メモを取っても質問をしても、なかなか仕事を覚えられないという方もいるかと思います。
そういう場合はもしかしたら、残念ながら本人の能力不足なのかもしれませんね。
これは辛いことですが、本人も悪気はないので仕方のないことです。
じっくりと仕事に取り組んだり、時間を掛けたりすることで、少しずつ覚えられるように努力をしていきましょう。
また場合によっては、ADHDなどの発達障害の診断を受けてみても良いと思います。
自分に合う学習方法のヒントが見つかるかもしれませんよ。
原因④話を聞いていない
そもそも話を聞いていなかったら、仕事を覚えられるはずもありません。
覚える・覚えないを言う前に、知識が頭を通り過ぎることすらしていないので、定着のしようがないですね。
これはもはや仕事への意欲があるのか、という話にもなってきてしまいます。
原因⑤興味がない・向いていない
業務への興味がない場合も、仕事を覚えるのに時間がかかります。
いくら責任が伴うと言っても、興味のないものを1回で覚えることはやはり難しいものです。
興味のないものを仕事にしてしまうと、業務時間中ずっと苦痛にさらされてしまうことになります。
仕事は一日に占める時間の割合が高いので、興味が無い仕事だと、一日の大半を苦痛を感じながら過ごすことになってしまいます。
こうなると仕事を覚えられないだけには留まらず、ミスも増えてしまったり、場合によっては精神に不調をきたしたりしてしまうことすらあります。
仕事を1回で覚えられない時の原因【他人編】
仕事を1回で覚えられない原因が、いつも本人にあるとは限りません。
本人は頑張ろうとしているのに覚えられない場合、周りの人や環境に原因があることも考えられます。
そのような、本人に非がないケースを一緒に見ていきましょう。
原因①そもそも詳しく教えてくれない
一つ一つについて、詳しく教えてくれない場合です。
大抵の場合、教えてもらう側というのは、新入社員や転職者といった新人が該当するでしょう。
当然これまでその業務に携わったことなどなく、事前知識もありません。
それなのに大した説明もせずに「はい、やって!」と言われているとしたら、そもそも無理があります。
1から10まで教えるべきとは言いませんが、そのような適当な教え方では覚えられるわけがありません。
原因②教え方が下手
教える側の教え方が下手というケースもあり得ます。
順序立った説明になっておらず、教えるというよりはただ思いつくままに喋っているような感じの人っていますよね。
相手が理解出来るような説明になっているのか、という視点が抜けてしまっています。
「指導」という名前でありながら、指導の体を成していないのです。
そのような人の下についてしまうと、覚えることは難しくなるでしょう。
原因③教える人が高圧的
やたら高圧的な人が教育係だと、覚えるどころではなくなります。
教えられている側は委縮してしまうし、緊張や焦りでミスが多くなってしまうからです。
時にはパニックになることもあるかもしれません。
さらに、高圧的な人に対しては質問もしづらい為、仕事内容をきちんと理解できず、結果として覚えられない状況に。
教える側の雰囲気は、それだけ教えられる側に影響を与える、とても大切なものなのです。
丁寧に教えてくれるとそれだけで嬉しくなりますし、気にかけてくれることで頑張ろうと思えたりしますよね。
高圧的な態度で仕事を覚えさせようとしても逆効果で、覚えられるものも覚えられなくなってしまいます。
しかし、高圧的な態度と言うのは、その人の自身の無さの裏返しらしいですので、冷静に対応しましょう。
原因④教える人が優秀ぎる
教える側の人があまりに優秀な場合も、教えられる側が1回で覚えることが難しくなります。
というのも、こういう頭の良い人やデキる人は1聞いて10理解してしまうので、自分が理解出来るからと、教え方が簡単になりがちです。
あるいは逆に、やたら細かく高度なことを教えたりします。
教えている本人自身がつまづくことがなかったので、どこでつまづくのか、何故つまづくのかということが理解出来ないからです。
つまり、わからないことがわからないのです。
その結果、教えられる側にとって不親切な説明になってしまい、理解できずに覚えることが難しくなってしまいます。
原因⑤教える人が気合で乗り切るタイプ
他に考えられるのが、教えてくれる人が気合で乗り切るタイプの場合です。
特に昔ながらの昭和気質の人だと「仕事は見て覚えろ!」などと言ってきそうですよね。
しかし新人の側からしてみると、見て覚えろと言われても経験がないのでどこを見れば良いのかわかりません。
見ているだけで、1回で仕事が覚えられるのであれば、そんな簡単な話はありませんよね。
この方法はとても効率が悪く、教えられる側にとって苦労することになります。
見ているだけで覚えられるような仕事は、誰でも出来るような単純労働くらいではないでしょうか。
仕事を1回で覚えられないことが悪ではない理由
仕事を1回で覚えられないことは、決して悪いことでありません。
そう言える理由を見ていきましょう。
理由①1回で覚えられる人の方が少ない
人間の記憶はとても曖昧で、次の日には7割忘れています。
そもそも1回で覚えられる人の方が少ないのです。
私自身の経験を振り返っても「それ前も教えたよね?」と誰かが言われている現場を目撃したことは1度や2度ではありません。
しかも仕事は大抵複雑なものですから、1回で覚えるにはハードルが高すぎるのです。
学生時代、教科書やテキストを1回読んだだけで覚えてしまうような人が稀にいたかもしれません。
そのような人であれば、仕事も1回で覚えるのかもしれませんが、そのような稀な人達を基準にする必要はありません。
理由②教える側の説明が下手な場合も多い
先ほども述べましたが、教える側に原因があるケースも往々にしてあります。
要は指導力不足の上司が多い、ということです。
教えられる側は、その業務についてほとんど知らない人です。
それなのに分かるように教えなかったり、早口だったり、的を得ないような言い方をする人もいます。
不十分な指導をしておきながら「1回で覚えろ!」というのは、その指導力不足を相手にぶつけているだけに過ぎません。
理由③誰にでも向き不向きがある
誰にでも、向き不向きはあります。
例えば人とコミュニケーションをとることが好きで活発なタイプの人が、経理に向いているでしょうか。
恐らく、営業職が適任なはずです。
本人の適正に無い仕事をあてがわれてしまうと、自然と覚えることも難しくなり、本人の本来持っている能力を発揮する機会もありません。
これは本人が悪いわけではなく、適切な人材配置をすることが出来ないその会社の問題なのです。
仕事を覚えられない時の対処法
仕事を1回で覚えられないことが仕方のないことだとしても、放置し続けるわけにもいきませんよね。
仕事を覚えられない時は、どのように対処して乗り越えていけば良いのか、そのヒントを見ていきましょう。
対処法①生活リズムを整える
睡眠時間は足りていますか?
睡眠不足は仕事中のパフォーマンス低下に直結してきます。
ぼーっとした頭でいると、仕事に集中することも出来ず、ミスが起きやすくなります。
当然、仕事を覚えることも難しくなってしまいます。
生活リズムが乱れているという自覚があるなら、早めに就寝するなど、その乱れたリズムを整えることを意識してみてください。
規則正しい生活が出来ると、疲れも抜けやすくなり、翌日のスッキリ度が変わってきます。
冴えた頭で取り組むことで頭に入りやすくなるはずです。
対処法②リラックスする
緊張すると視野が狭くなり、ちょっとしたことでもパニック状態になってしまいます。
頭が真っ白になって何も考えられなくなる時もあるかもしれません。
そうなると理解力が低下し、普段なら出来るはずのことが出来なかったり、覚えられるはずのものも覚えられなくなってしまいます。
特に新人の時は余計に緊張するものです。
しかし仕事で仮に失敗しても、命まで奪われることはありません。
肩の力を抜き、深呼吸をして、普段に近いリラックスした状態で仕事に取り組むことを意識してみてください。
対処法③メモを取る
やはりこれが王道であり、基本の対処法デス。
教えてもらったことは、漏らさずメモを取るようにしていきましょう。
わからなくなった時に見返せば聞く必要がなくなりますし、何度も見返すことで記憶が定着していきます。
またメモを取ると相手からも意欲があるように見え、少々覚えが良くなかったとしても大目に見てもらえる可能性があります。
ちなみにこのメモは、紙でもPCでもどちらでも構いません。
紙にメモを取る時のコツは、自分なりの略語を作ること。
略語を使ってメモを取ると、メモを取る速度が速くなり、聞き漏れや書き漏れが少なくなりますよ。
私の場合は大事な仕事を教えてもらうときは録音して、その後PCにメモするようにしています。
こうすれば詳細にメモができ、またそのメモをなくすこともありません。
またこのメモが備忘録にもなるので、忘れたときにサッと見返すことで仕事が止まることもなくなりました。
対処法④疑問点は質問・相談して解決する
疑問点が出てきたらすぐに聞いて解決しましょう。
疑問点があっても、ついつい「大丈夫です」「わかりました」と返事をしてしまいがちです。
しかし恥を忍んでその時に聞いておかないと、時間が経てば経つほど聞きづらくなってしまいます。
理解はこれで合っているのか、この進め方で正しいのか?
そういった曖昧な部分を抱えたまま仕事をしていても生産性は上がりませんし、記憶に残すことも出来ません。
質問に答えることも含めて上司の仕事ですので、ぜひ勇気を出して聞いてみてください。
思い切って質問してみることで、教える側もどこがわかっていないのか把握できます。
わからないポイントを重点的に説明してくれるなど、理解のレベルに合った説明をしてくれるかもしれませんよ。
そして、質問したらその答えをメモに残しましょう。
対処法⑤作業が終わってから流れを振り返る
色々な人に相談や質問をしながら作業を完了させることが出来たら、その作業の流れを振り返ってみましょう。
仕事は復習が全てだと説く人もいます。
振り返りを行うことで、初めて知識やスキルが定着に向かうからです。
加えて反省点、改善点などを考え、次回はそのポイントに注意し、より早く正確に取り組めるようにトライしましょう。
振り返りの際の重要なポイントは、その仕事の意味や目的も理解するように努めることです。
一連の工程の中で、どのような役割を持った業務なのかを把握してください。
こうすることで単なる作業から脱却でき、自分の仕事内容に意味を持たせられるので、頭に入りやすくなるはずです。
仕事が覚えられないことを怒る人への対処法
仕事を覚えられないことを怒る人があなたの上司になってしまっても、決して悲観しないでください。
対処法はありますので、どう対応すれば良いのか見ていきましょう。
対処法①早く覚えられないことを伝えておく
すぐには覚えられないことを思い切って伝えることも、一つの手です。
出来るだけ早く覚えられるよう努力はするけど、基本的にはゆっくり実践しながら覚えるタイプであると素直に伝えましょう。
あまり急かされると委縮してしまって覚えられなくなってしまう、長い目で見て欲しいと伝えて理解してもらうことも時には必要ですね。
対処法②気にしすぎない
覚えられない原因が全てあなたにあるとは限りません。
これまで見てきたように、教える側の教え方が上手くないケースも十分に考えられます。
1回で覚えられないからといって必要以上に気落ちしたり、自分を責めたりする必要はないのです。
「最初から全部完璧にこなせるわけないんだから、しょうがないじゃん」くらいのスタンスでいた方が、精神的にも安定していられます。
一方的に怒られたとしても「そもそもそっちだって、覚えられるように教えてるのかよ」と開き直り、受け流すくらいの感覚で聞いておきましょう。
対処法③気負い過ぎない
失敗しないようにしようと気負い過ぎてしまうと、精神的にも疲れてしまいます。
はじめは誰もが初心者です。
仕事を教えてくれるその上司にだって、新人の時代はあったのです。
そして、なかなか出来るようにならない仕事もきっとあったはずです。
多くの人が経験することですので、気楽に、出来る範囲でコツコツ積み上げていく意識で頑張っていきましょう。
対処法④他の人に相談してみる
怒りっぽかったり、ちゃんと教えてくれない上司の下について大変な時は、周りや更にその上の上司に相談してみるのも一つの方法です。
私も以前、上司の指導方法がどうしても合わず、その上の上司に相談をしたところ、異動させてもらえたことがありました。
異動した後は、丁寧な指導をする上司の下でとても精神的に安定した状態で、生き生きと仕事が出来ました。
「明るくなったね」と周りから言われるほどで「こんなに変わるんだ」と裏でビックリしていた人もいたそうです。
勇気を出して相談することで、思わぬ解決法が出てくるかもしれませんよ。
対処法⑤転職を考える
覚えられないのは、根本的にその仕事が合っていないからという可能性もあります。
どうしても合わないと思ったら、転職を考えてみても良いと思います。
人生は有限。
誰も区切りはつけてくれません。
合わない仕事に対して、苦痛を感じてまで自分の人生の貴重な時間を費やす必要はないのです。
世の中には沢山の仕事があります。
一つの仕事で上手くいかなかったとしても、それで全てが終わるわけではありません。
あなたに合う仕事はきっとあります。
環境と仕事を変えたことで、見違えるように生き生きと働き、大きな成果を上げた人はたくさんいます。
あなたの人生、後悔しないように進んでくださいね。
1回で覚えることにこだわり過ぎず、少しずつ成長していこう!
今回は、仕事を1回で覚えられないことについて、原因や対処法を見てきました。
大前提として、1回で覚えようとする努力は必要です。
覚えようとメモを片手に真剣に話を聞いている人に対しては、教える側も熱心に向き合ってくれるものです。
しかし不運なことに、教え方があまり上手くない上司や自分に合わない仕事の場合は、たとえ努力をしても覚えられない時もあります。
そんな時は、1回で覚えることを過度に重視する必要はなく、メモを取ったり質問をしたりと、できることから進めましょう。
1回で覚えることを気にしすぎると、余計に覚えられなくなってしまいます。
自分に合う方法を見つけながら、階段を一段一段上るように、少しずつステップアップしていきましょう!