紙やペンを使わずに頭の中で計算する暗算。
なかでも割り算の暗算は一番難しいですよね。
しかし、割り算の暗算ができるようになると自然と頭の回転が速くなり、他の人よりも思考の先回りができるので、ビジネスの面においてもプラスとなります。
そこで、この記事では3~4桁の割り算を暗算で簡単に行うためのコツを解説していきます。
割り算の暗算が得意な人が知っている計算のコツ3選
難しい割り算の暗算ですが、ちょっとしたコツで一気に難易度が下がります。
ここでは、割り算の暗算が得意な人が良く使っているテクニックを3つ紹介します。
割り算暗算のコツ①大体の見積もりを頭の片隅に置いておく
まず最初に答えのおおよそのめぼしをつけておくことです。
例えば「120÷7」という計算の時、割る数7に10を掛けると「70」になります。
70は割られる数120より小さいので答えは10より大きいことがわかります。
次に割る数7に20を掛けると「140」となり、120より大きいことから、答えは20より小さいということがわかります。
以上から答えの範囲は、「11以上19以下」と、おおまかに絞ることができます。
割り算暗算のコツ②できるだけ計算を減らす
今度は「144÷3÷4」という計算をしてみましょう。
この場合、最初の「144÷3」から計算をして、次にその答えの48に対して4で割って・・・と行うと2回割り算をする必要があります。
そこで後ろの「÷3÷4」をまとめて、「÷12」とすると、「144÷3÷4」は「144÷12」になります。
「12×12=144」を知っていれば、答えはすぐに12だということがわかります。
このようにして面倒な計算はできるだけ減らすようにしましょう。
割り算暗算のコツ③知っていて簡単な計算に持ち込む
次の計算の例ですが、「272÷16」について考えてみましょう。
3桁÷2桁で、まともに計算すると上2桁の27を16で割って・・・と複雑な計算になるので少々変形しましょう。
「272÷16=(256+16)÷16=(256÷16)+(16÷16)」とします。
256が16の2乗ということを知っていれば、あとは楽勝ですね。
「(256÷16)+(16÷16)=16+1=17」となります。
これは2乗の数字を覚えておく等、ある程度の暗記が必要となりますが、一度覚えてしまえば楽なこと間違いなしです。
割り算を暗算で行う5つの方法
次に割り算を暗算で行う方法を5つのパターン別に見ていきましょう。
割り算暗算の方法①割る数が4,6,8など素数でない時は約分できないか検討する
割る数が4,6,8などの素数でない場合、まず約分することにより割られる数が小さくならないか検討してみましょう。
もし約分することにより値が小さくなれば、計算はグッと楽になりますよ。
割り算暗算の方法②割る数が5の時は、倍にする
割る数が5のときは、「÷5」を「×2÷10」としてしまいましょう。
例えば「87÷5」であれば、「87×2÷10」として、最初に87を2倍します。
87×2で174となるので、あとは÷10すれば、答えは17.4と出ます。
ただし余りを出すときはその余りを2で割って元に戻しておきましょう。
「87÷5」も「174÷10」も商はどちらも17ですが、余りは違います。
「87÷5」の余りは2ですが、「174÷10」の余りは4です。
余りを出す場合は4÷2=2と元に戻しておく必要があるので気を付けましょう。
割り算暗算の方法③割る数が9の時は、足し算でできる
3桁の数字を割る数が9のときは、次の方法で解くことができます。
133÷9のとき求める商と余りをX、Y、余りをZと考えます。
そのとき、まずXには、133の100の位の数「1」がそのまま当てはまります。
次にY=は133の100の位の数「1」と10の位の3を足した数4が当てはまります。
そして余りのZですが、この数は133のすべての位の数を足しましょう。
(1+3+3=)7がZの値です。
よって、「133÷9=14余り7」が答えです。
ただし、Zが9以上の数になったときは要注意です。
「174÷9」の場合、上記の方法だと「174÷9=18余り12」となりますが12は9より大きくなります。
Zが9以上になる場合は、もう一回9で割って(12÷9=1余り3)商の1を最初の商に足します。
よって正しい答えは「174÷9=19余り3」となります。
余りが9を超える場合は気を付けましょう。
割り算暗算の方法④割る数が11の時は、分数と少数の対応表を暗記しよう
割る数が11のときは少し覚えることが必要です。
分数 少数
1÷11 = 0.0909・・・
2÷11 = 0.1818・・・
3÷11 = 0.2727・・・
4÷11 = 0.3636・・・
5÷11 = 0.4545・・・
6÷11 = 0.5454・・・
7÷11 = 0.6363・・・
8÷11 = 0.7272・・・
9÷11 = 0.8181・・・
10÷11 = 0.9090・・・
覚え方は、整数部分はすべて0です。
数部分は少数点以下1位と2位に分数の分子に9を掛けた数が入り、3位4位以降はそれらが繰り返されます。
例えば4÷11 では整数部分は0、そして少数1位と2位は分数の分子の4に9を掛けた36が入り以後繰り返されるので、「0.3636・・・」となります。
計算練習として「227÷11」の場合、商は20、余りは7となりますが、上記から7÷11 = 0.6363・・・なので、答えは「227÷11=20.6363」となります。
普通に割り算をするより、ずっと簡単に答えが出せますね。
割り算暗算の方法⑤特徴ある数字を活用する
特徴ある数字は見ただけで素因数分解が頭に浮かぶようにしましょう。
例えば1024=2の10乗ですが、これを覚えれば2048は1024の2倍ですから2の11乗、512は1024の2分の1ですから2の9乗とでます。
すると、割る数が偶数の時はすぐに2で約分でき楽になります。
また、上記でも出ましたが2乗の数について、10の2乗=100まではわかると思いますが11以降は覚えているでしょうか。
11の2乗=121
12の2乗=144
13の2乗=169
14の2乗=196
15の2乗=225
16の2乗=256
17の2乗=289
18の2乗=324
19の2乗=361
20の2乗=400
と、少なくとも20の2乗までは中学受験をする小学生でも暗記していますから、できれば覚えておきましょう。
割り算の暗算におすすめな例題
さらにいくつかの例題を解いてみましょう。
割り算の暗算例題①二桁÷一桁
79÷5
この場合、「割り算暗算の方法②」のとおり、まず79を2倍します。
79×2=158
あとは÷10なので、答えは15.8(もしくは15、余り4)と答えが出せます。
割り算の暗算例題②二桁÷二桁
96÷11
この場合、「割り算暗算の方法④」のとおり、まず96÷11で8、余り8となります。
あとは先ほど紹介した分数と少数の関係性から8÷11=0.7272・・・になり、答えは8.7272・・・と出せます。
割り算の暗算例題③三桁÷二桁
512÷16
この場合、「割り算暗算の方法①」に従い、約分できないか探します。
知っている方も多いと思いますが、512は2の9乗、また16は2の4乗であることから512は2を4回約分できます。
ここから9乗-4乗で、答えは2の5乗、つまり32と出せます。
割り算の暗算例題④四桁÷二桁
1188÷12
この場合は、「割り算暗算のコツ③」を使ってみましょう。
一工夫して「(1200-12)÷12」としてみましょう。
こうすれば「(1200÷12)-(12÷12)」とそれぞれ簡単な計算式にできます。
それぞれの答えは1200÷12=100、12÷12=1と求まりますね。
よって答え99となります。
割り算の暗算練習がもっとしたい!
割り算の暗算ができる様になるには、反復練習が必要です。
反復練習におすすめの問題集、参考書を紹介します。
おすすめの問題集
「完全版 暗算の達人 世界最高の高速暗算テクニック」
対象レベル:初心者~上級者
こちらは、出来るだけ汎用性が高い暗算の方法を覚えることで、多くの計算を解けるという考え方の本です。
解説は詳しく記載されており上級者のみならず初心者でもわかりやすい本です。
練習問題も大変充実していますよ。
おすすめの参考書
「インド式かんたん計算法 1冊で頭がよくなる 大人も子どもも、楽しみながら「算数脳」になる!」
対象レベル:初心者
こちらはいろいろな暗算方法などを楽しみながら学びたい人向けの本となっています。
内容はとても丁寧に解説されており、タイトルどおり、大人から子供まで幅広い人が理解できる本となっています。
割り算の暗算には慣れも大切!
割り算の暗算を行うためのコツやテクニックをお伝えしましたが、実際に問題をより多く解いて慣れることも重要です。
いくら知識を身に付けても実践でできなければ意味がありません。
たくさん問題を解いて割り算の暗算が素早くできる様になり、頭の回転を良くしていきましょう。